午後6時、六本木ヒルズへ向かう。
今、森美術館では2つの展覧をしている。
私の目的は、「ムートン・ロスシルド ワインラベル原画展」。
その年ごとに、ダリやシャガールやピカソなんかが、
そのシャトーのボトルラベルのために絵を描いている。
特にワインが好きで興味をもったわけではなく、
今ではいたる所に溢れている、商業アートのはしりのようなものを
ちょっと見てみたくなった。
意外にも、美術館には外国人が多かった。
目の前の家族連れは観光客らしい。
大人4人にまじって、小学生くらいの男の子が一人。
どうしても目で追ってしまうのは、
彼が、黒のジャケットとパンツという姿だったから。
小さな金髪の頭に、ノーネクタイのゆるさがちょうどいい。
着られているでもなく、着なれているわけでもない、よそゆきの服。
彼がいることで、この美術館がステキな場所に感じられた。
ラベル原画の展示室に入ると、ワインの匂いがする。
香りは視覚にまして、記憶にとどまる。
その証拠、美術館を後にした私は
どうしてもワインが飲みたくなり、
一杯ひっかけてから、ほろ酔いで家に帰った。
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